3.オランダの修道院ビール醸造所 De Koningshoeven B.V.          
Bierbrouwerij De Koningshoeven B.V.
Eindhoevenseweg 3, Berkel-Enschot
http://www.latrappe.nl/

2002/10:
Koningshoeven (王様の農場) という場所に建てられた、Koningshoeven修道院は、1884年からSchaapskooi (羊囲いの柵)というKoningshoeven内の場所でビールの醸造をはじめたそうです。
その後、Schaapskooi醸造所ではオランダ唯一の「トラピストビール」が醸造され続け、1970年代にはベルギーの大手醸造所アルトワがオランダに設立した「Artois Netherland」をパートナーとし、ピルスナータイプのビール醸造も始められました。

アルトワは1979年にSchaapskooi醸造所から手を引くと同時に、ピルスナー醸造のための冷却器なども引き揚げてしまったため、80年代からは、また再びトラピストエールだけをつくるようになりました。

1982年には現在でも流通しているLa Trappe Dubbel、翌年にはLa Trappe Tripelが発売され、Schaapskooi醸造所は順調な再スタートを切ったようです。
しかし、Koningshoeven修道院に限られたことではありませんが、1990年代に入ると、修道士の高齢化と減少が避けられず、ビールの醸造を続けることが困難になってきてしまったそうです。
私が訪問した2002年10月の時点では、この広大な敷地と建物に14人しか修道士がいないとのことでした。

伝統あるオランダの修道院ビールを存続させるため、1999年からはオランダ大手の醸造所 Bavaria が新しいパートナーとなり、醸造のためのスタッフは外部から迎えられ、醸造所の名称はKoningshoeven醸造所になりました。
それと同時に、修道院のレシピで醸造されるものの、修道士はビールの醸造に直接タッチしなくなってしまいました。そのため、1997年からトラピストビールのラベルにプリントされている六角形のマーク(修道士が醸造に携わっていることを示す)は、残念ながら現在販売されているKoningshoeven醸造所のビールのラベルにプリントされていません。しかし、修道院内でつくられていることには変わりありません。

→1997年から1998年に製造された販促物、広告、ビールのラベルには六角形マークがプリントされています。

もらったパンフレットによる、2002年のオープンデイは
 proeflokaal(試飲ルーム:誰でも利用できるカフェ)
  5月1日〜9月30日:火曜〜土曜は11:00〜18:00、日曜日は12:30〜18:00。
 Excrsies(醸造所見学ツアー)
  5月1日〜9月30日:火曜〜土曜の13:30と15:00の2回。オランダ語でのツアーになるようです。
これ以外の日の醸造所見学は「要予約」。試飲ルームも見学者のみに開かれます。
今回は、いつも行くビールカフェのオーナー夫妻に誘っていただいて、4人で10月に見学しました。案内のおじさんは英語で説明してくれました。わーい。
←お土産売場1
駐車場から入ってすぐにある「修道院ショップ」
春夏は10:30から開いてるそうですが、10月〜4月は15:00〜17:00の2時間だけしか開いていません。

→試飲ホール&併設お土産売場2。夏はテラスが出てビールを楽しむ人で賑わうようです。

試飲ホール。
修道院の紹介ビデオを見せてもらいました。
オランダ語なら大きいビデオプロジェクター、英語なら14インチのテレビになるけど、どっちにする?と言われ、小さい画面でも英語のビデオを選択。
ビデオは修道士たちの厳しい戒律のもとでの生活を紹介。
その生活の中で、自前の消防車に乗っての消防訓練や、自分自身の柩を作るシーン、食後?に葉巻をくゆらす姿、などが印象的(笑)でした。
醸造所入口にあるゲート。通路の上には聖ベネディクトさんがいらっしゃいます。
アメリカ向けのLa Trappeに「taste of silence」と書いてあるのですが、トラピスト会の教義(?)として「私語をしない」ということがあるらしく、前述の修道院紹介ビデオでも、食事の時には当番が読む聖書の声だけです。案内のおじさんが「シーッのポーズだ」と聖ベネディクト像を指して、笑いながら教えてくれました。本当に「シー」のポーズなのかしら。冗談?

ところで、Koningshoeven修道院は、修道院近辺にサイクリングコースを設定し、観光客の訪問をアピールしています。しかし、全長84km…。オランダ人は体力が違いますね。

←ビール醸造に使われる湧き水。「夏はときどき修道士たちが泳いだりするので、ビールの品質に悪影響を及ぼすんだ」とオランダジョークを聞かされました(笑)。エミュー(なワケない)みたいな鳥がいました。

→醸造所裏手に広がる広大なking's garden。現在はハンディキャップを持つ方々に無料で開放し、農作物が育てられているそうです。


ひっそりとしたブルワリー入口。
それほど規模は大きくない。

↑近代的な設備を導入
←昔からある設備
これだけの設備でLa Trappe 4種、
Kroon4種、Moreekeなども醸造してます
←Bavariaがパートナーになってから導入されたご自慢のコンピュータ制御装置。

→醸造室の壁にこんなステキなものが飾られてました。いわれのあるものかと思ったら、近代的なシステムに改築したときに修道士が作ってくれたんだそうです。

John MartinやDe Doolのビールの瓶/樽詰めも引き受けるほどの、これまたご自慢のハイテク(?)ボトリング工場。
昔は1万本瓶詰めするのに15人で半日かかっていたが、写真の新システムを導入してからは4人で1時間に1万1千本もボトリングできるようになった、とのこと。さらに来年には機械を増やし、1時間2万本体制になる予定とか。
←のラベル貼付マシーンを眺めていたら、従業員のお兄ちゃんが日本語で「ラ・トラッペ」と表記された輸出用のラベルをくれました。そして、お兄ちゃんはわざわざ作業を中断し、日本語ラベルを1枚だけ機械にセットして、日本語ラベルの「ラ・トラッペ トリプル」をプレゼントしてくれました。ありがとう!

→750ml陶器瓶に500ml陶器瓶用の日本語ラベルが貼り付けてあるという、ある意味レアな1本。


洗浄前の空瓶はハイネケンやフロルシュなどさまざま。規格瓶だから相互に使い回しできるんだなあと納得。

樽は赤、青、黄などに色分けされてましたが、樽の色が中身を示しているのかどうかは不明。

アメリカ輸出用。La Trappeではなく、
Konings hoevenという名称で販売。
最後は試飲ホールに戻ってテイスティング。
La Trappe DubbelとKroon Witの樽を飲みました。

←試飲ホール併設のお土産売場。
La Trappe Dubbelでウォッシュした特製チーズが欲しかったのに、ここでは売ってなかった…。おみやげ売場1で売ってんのかな。
でも、ここでしか売っていないと思われる、ABTのために醸造したLa Trappe Paterkeの陶器瓶が買えました。いいのかしら。
あと、ビール各種、グラス各種、La Trappe Dubbelを蒸留したBierlikuer、ちょっと趣味の悪い(笑) La Trappeバスローブなども売ってました。


1.アムステルダムのビール博物館/醸造所(併設カフェ)

2.アムステルダム以外のビール博物館/醸造所(併設カフェ)

3.オランダの修道院ビール醸造所 De Koningshoeven B.V. (La Trappe)